緊張すると、胸がギュッとする。
嫌なことがあると、なんとなくお腹の調子が悪くなる。
言いたいことを我慢していると、喉につかえているような感じがする。
そんな経験ってありませんか?
感情は目に見えません。
でも不思議なことに、
緊張すれば身体はこわばる。
怒れば顔が熱くなる。
不安になると呼吸が浅くなる。
気持ちの変化は、けっこう素直に身体へ現れます。
東洋医学では、こうした身体の変化を見るときに、
「気滞(きたい)」
という考え方が出てきます。
今回はこの「気滞」について、なるべく難しい言葉を使わずに考えてみます。
「気滞」って、気が詰まってるの?
前の記事で、「気」についてお話ししました。
東洋医学では、
気が不足する状態を考えるときには気虚。
そして、
気の巡りがスムーズではない状態
を考えるときに使われる言葉の一つが、
気滞 です。
漢字を見ると、
「気が滞る」。
そのままですね。笑
ただし、
身体の中に「気」という物質があって、それが配管につまっている――
という意味ではありません。
私は、
身体の働きや変化が、なんとなくスムーズにいっていない状態を表す昔の人なりの言葉
くらいから入ると理解しやすいと思っています。
※ここから第3記事「『気』って結局なに?」へ内部リンク。
人間って「つまる」という表現をよく使う
考えてみると、私たちは身体の不調を表すときに、
胸がつまる。
喉につかえる。
お腹が張る。
息がつまる。
みたいな言葉を使います。
もちろん、これらの症状にはさまざまな原因があります。
特に胸の痛みや強い息苦しさ、急に起こった症状などは、東洋医学うんぬんの前に医療機関で確認すべき場合があります。
そのうえで面白いのが、
本人自身が「なんか流れていない」「つまっている」と感じることがある
ということです。
東洋医学では、そういう身体の様子も一つのヒントとして見ていきます。
感情と身体は、案外わかりやすくつながっている
例えば、大勢の人の前で話す直前。
胸がドキドキする。
呼吸が浅くなる。
口が乾く。
お腹が痛くなる。
これは、
「気のせい」だから何も起きていない
わけではありません。
緊張という感情に対して、身体もちゃんと反応しています。
逆に、安心した瞬間に
「ふぅ〜……」
と大きなため息が出ることもあります。
あれも面白いですよね。
何も教えられていないのに、身体が勝手に大きく息を吐く。
私はこういう日常の反応を見ると、
身体って、意外と自分で何とかしようとしているんだな
と思います。
「ため息」は悪いもの?
ため息をつくと、
「ため息つくと幸せが逃げるよ」
なんて言われることがあります。笑
でも、疲れていたり緊張していたりすると、自然とため息が出ることがあります。
私は患者さんと話しているときにも、
「最近、ため息増えてません?」
と聞くことがあります。
本人は気づいていないこともあります。
ここも東洋医学の面白いところで、
本人が訴えている症状だけではなく、
声。
呼吸。
表情。
話し方。
そういう小さなところも身体を見るヒントになります。
以前紹介した望・聞・問・切にもつながってきます。
私はまた「川」をイメージする
このブログでは何度か出てきましたが、
私は身体を考えるときに川をイメージすることがあります。
水そのものが足りなければ、川の水量は減ります。
これは前回までの「気虚」のイメージに少し近い。
でも、
水は十分ある。
なのに途中に枝や石がたまって、流れが悪くなっている。
そんな状態もあります。
私は気滞を考えるとき、
「足りないというより、うまく動いていない」
という違いをイメージしています。
もちろん、人間の身体が本当に川のようになっているわけではありません。
あくまで理解するための例えです。
でも、
不足しているのか。
巡りが悪いのか。
という違いは、東洋医学ではかなり重要です。
気虚と気滞は同じ「疲れ」でも違う
例えば、
「最近疲れています」
という人。
前の記事では、睡眠不足などでバッテリーの充電が足りないような状態について考えました。
一方で、
体力そのものがないというより、
仕事中ずっと緊張している。
考え事が頭から離れない。
休日になっても身体の力が抜けない。
そんな疲れ方もあります。
どちらも本人からすれば、
「疲れる」
です。
でも中身は同じとは限りません。
ここが、前回の記事で書いた
という話につながります。
ストレスを全部「気滞」にしない
ここは大事です。
ストレスがある。
胸が苦しい。
お腹の調子が悪い。
だから、
「あなたは気滞です!」
と簡単に決めるものではありません。
身体の不調にはさまざまな原因があります。
東洋医学でも、生活や食事、睡眠、身体の状態など、いろいろな情報を合わせながら考えます。
「気滞」は便利な言葉ですが、
人間を一言で分類するためのラベルではない
と私は思っています。
首や肩、背中のこわばりや張りが気になるという患者さんが来ました。
毎日のデスクワークが大きな原因ではあるでしょう。
しかしよくよくお話を聞いていると
お子さんが受験勉強でピリピリしている。
お子さんの邪魔はしたくないと、自分の緊張を解く時間を削っていたようです。
呼吸は浅くなり、緊張の伝染というのか、本来ならば1番力を抜いて自分を整えるべき
マイホームが緊張の原因になってしまう。
私も仕事が終わった後は日によりますが、軽く運動をします。
時間があるなしで内容は定まっていませんが、5キロ程度の軽いランニングや
腕立て伏せや腹筋などの自重トレーニング。
時には子どもとYouTubeの10分で脂肪燃焼!みたいなものも行います。
呼吸を促して汗をかき、子どもと話して笑う。
仕事とプライベート。緊張と緩和。
こういった切り替えが気の流れを整えて次の日も頑張ろうという気持ちを作るのではないかな。と考えます。
じゃあ「巡らせる」ためには何をすればいい?
ここも、
「気滞にはこのツボ!」
だけで終わらせたくありません。
まずは、
少し歩く。
伸びをする。
大きく息を吐く。
外に出る。
誰かと話す。
好きなことをする。
そんなことでも、身体の感じが変わることがあります。
ポイントは、
「何をすれば絶対に良くなる」ではなく、今の自分が少し楽になるものを探してみること。
東洋医学のセルフケアも、その選択肢の一つです。
今後このブログでは、ツボや身体の動かし方についても少しずつ紹介していこうと思います。
心と身体を無理に分けなくてもいい
「ストレスだから気のせい」
という言葉があります。
でも私は、
心の問題だから身体とは関係ない
とは思いません。
緊張すれば身体が硬くなる。
安心すれば肩の力が抜ける。
嬉しいと自然に動きたくなる。
人間って、最初から心と身体がセットなんですよね。
東洋医学を勉強していると、
そういう当たり前のことを改めて面白く感じます。
身体が出している小さなサインを、
「気のせい」で片づけず、
「今、自分はどんな状態なんだろう?」
と少し眺めてみる。
それも一つの養生だと思います。
毎日に、ちょっと東洋医学。


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