「健康のために、運動しなきゃ」
「寝る前にストレッチもしなきゃ」
「明日こそ早起きして、朝活しなきゃ」
身体のことを考えているはずなのに、気づけば「しなきゃ」が大渋滞。
仕事や家事の予定に、健康のための宿題まで増えている。
……それはちょっと、忙しいですよね。笑
もちろん、身体を動かすことや、生活のリズムを整えることは大切です。
でも、疲れている日にまで何かを追加することが、今の身体に合っているとは限りません。
今日は、あえて何もしない。
いつもより早く寝る。
予定を一つ減らす。
そんな選択も、立派なセルフケアです。
健康のために、頑張りすぎていない?
健康について調べると、「やった方がいいこと」はたくさん見つかります。
ウォーキングに筋トレ、ストレッチ。朝の時間を有効に使うこと。
一つひとつは良さそうでも、全部を毎日やろうとすると、それだけでなかなかの仕事量です。
例えば、寝る時間を削ってストレッチをしていたら。
前の晩が遅かったのに、朝の運動のために無理に早起きしていたら。
身体に良いことを足す一方で、必要な休息を引いてしまっているかもしれません。
「今日もできた!」という達成感も大切です。
でも、それと同じくらい、
「今日は疲れているから、ここまでにしよう」
と気づけることも大切なんじゃないかなと思います。
「気虚」の話から考える、使うことと休むこと
以前の
「気が足りないってどういうこと?『気虚』をやさしく考える」
では、身体を動かしたり、働かせたりする力が不足しているような状態を考える言葉として、「気虚」を紹介しました。
そのときに出てきたのが、スマホのバッテリーのたとえです。
残りわずかなバッテリーで、さらに新しいアプリを動かす。
スマホなら
「その前に充電させて」
と言いたくなるかもしれません。笑
人間の身体も、使い続けることだけを考えず、食事や睡眠、休息の時間を見直すことが大切です。
ただし、
疲れているから必ず気虚、というわけではありません。
これは身体を考えるためのたとえで、疲れの原因を診断するものでもありません。
今、どんな生活をしていて、何が足りなくなっているのか。
そこまで一緒に見ていきたいところです。
「何もしない」も、立派なセルフケア
休むというと、少し後ろめたく感じる人もいるかもしれません。
「何もできなかった」
「今日も運動をさぼってしまった」
でも、疲れがたまっている日に休息を選ぶことまで、さぼりにしなくてもいいと思います。
東洋医学でいう「養生」は、日々の暮らしの中で身体をいたわること。
特別な健康法を増やすことだけが、養生ではありません。
- 今夜は運動をお休みして、早めに寝る支度をする
- 急ぎではない用事を、別の日に回す
- 家事を一つ、家族にお願いしてみる
- 次の予定を入れず、少しぼんやりする
こんなことも、身体のためにできる選択です。
仕事や子育てがあると、丸一日休むのは難しいこともありますよね。
全部を止められなくても、
「今日は一つ減らす」
くらいからでいい。
休息にまで、満点を求めなくてよさそうです。
私自身、「休んだ方が調子がいい」を何度も経験しています
私自身、運動を続けていると、
「今日は走っておきたいな」
と思う日があります。
でも身体が重い日はペースを落としたり、悪天候が続いて数日思うように走れなかったりすることもあります。
以前なら、
「せっかく続けていたのに……」
と少し焦る気持ちもありました。
ところが不思議なもので、数日しっかり休んだあとの方が、走るペースが良かったり、同じペースでも脈拍が落ち着いていたりすることがあります。
もちろん、
「休んだから必ず調子が上がる」
という話ではありません。
でも少なくとも私は、
休むことも、次に動くための準備なんだな
と感じるようになりました。
「今日は走らなかった」ではなく、
「今日は休むことを選んだ」
と考えると、少し見え方が変わります。
「身体に良いこと」でも、やればやるほど良いわけではない
以前、ストレッチをした翌日に、ひどい腰痛が出たことがあります。
ストレッチそのものが悪いわけではありません。
でも、
身体の状態。
強さ。
時間。
やり方。
そういうものを無視して、
「身体に良いものだから、やればやるほど良い」
とは限らない。
これは東洋医学に限った話ではなく、健康全般に言えることだと思います。
治療して楽になったからこそ、少し待ってほしいこともある
施術をしていると、時々こんなことがあります。
身体の痛みが少し楽になった。
動きやすくなった。
「よし、これならいける!」
と、その日のうちにハードなトレーニングへ。
そして翌日、
「昨日より痛くなりました」
と来院される。
……施術者としては、
「ちょっと待ってください。笑」
と思うことがあります。
草野球でも、ゴルフでも、バレーボールでも、好きなことに夢中になる気持ちはよく分かります。
結果を出したい。
仲間に迷惑をかけたくない。
思い切り身体を動かしたときの充実感もあると思います。
ただ、
その日の楽しさのために、その後の生活にまで影響するようなケガをしてしまうのは、やっぱり避けてほしい。
しっかり身体を使いたいのであれば、
同じくらい、しっかり休むことも予定に入れてほしい。
私はそう思っています。
施術で調子が良くなったことと、
身体が完全に回復したことは、必ずしも同じではありません。
「動けるようになったから、すぐ全力」
ではなく、
身体が回復する時間まで含めてケア
と考えてもらえたら嬉しいです。
では、とにかく休めばいいの?
ここが少しややこしいところです。
「それなら、ずっと横になっていれば健康!」
……という話でもありません。笑
あまり身体を動かさない日が続いて、かえって重だるく感じることもあります。
無理なく動ける日なら、少し立って身体を動かしたり、短い散歩をしたりする方が気持ちよく感じられることもあるでしょう。
前の記事でも触れたように、東洋医学では「過不足」という見方があります。
動くことも、休むことも、多ければ多いほど良いとは限らない。
その人にとって、その日の身体にとっての「ちょうどいい」があります。
ただ、休んでもだるいからといって、すぐに
「休みすぎだ」「運動不足だ」
と決めつけないでください。
少しの活動で強く疲れたり、動いた後や翌日に不調が悪化したりする場合は、無理に運動を増やさず、医療機関に相談することも大切です。
足す前に、今日の身体を少し見てみる
「なんとなく疲れる。東洋医学では身体のどこを見る?」
でも、疲れという一つの言葉だけでは、その人の状態は分からないという話をしました。
まずは、難しいチェックをするよりも、こんなことを振り返ってみます。
最近、ちゃんと眠れているかな。
食事を抜いたり、減らしすぎたりしていないかな。
仕事や家のことで、気を張り続けていないかな。
動きすぎている? それとも座りっぱなし?
食欲や便通は、いつもとどう違うだろう。
答えをきれいにまとめる必要はありません。
「そういえば、今週は寝るのが遅かったな」
それに気づいたら、今夜は健康法を一つ追加するより、夜の予定を一つ減らしてみる。
昨日できた運動を、今日も同じだけやる必要はありません。
休んだ翌日に、埋め合わせで倍頑張る必要もありません。
身体の様子を見ながら、その都度調整していけばいいんです。
「今の身体には何が必要?」を大切に
東洋医学では、同じ「疲れる」でも、睡眠や食事、生活の様子などを合わせて、その人の今の状態を考えます。
だから、いつでも運動が正解、いつでも休息が正解、と一つには決められません。
「身体に良いことを、もっとしなきゃ」
そう思ったときに、少しだけ立ち止まって、
「今の身体には、何が必要なんだろう?」
と考えてみる。
その答えが
「今日は早く寝よう」
でも、十分です。
疲れには病気が隠れていることもあります。
強い疲労、長く続く不調、休んでも改善しない疲れ、日常生活に支障がある場合は、セルフケアだけで抱えず医療機関へ相談してください。急な胸の痛みや強い息苦しさなどがある場合は、速やかな受診が必要です。
自分の身体に合う選択肢の中に、
「何かをする」と一緒に
「今日は休む」
も置いておく。
それくらいの余白があっても、いいんじゃないかなと思います。
毎日に、ちょっと東洋医学。


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