昔、旅行広告に使う写真を撮る仕事をしていました。
旅行の広告なので、基本的に撮るものはきれいな景色です。
青い空。
満開の花。
紅葉。
観光地の、一番きれいな瞬間。
こう書くと、
「めちゃくちゃ羨ましい仕事じゃん」
と思われるかもしれません。
確かに楽しい仕事でした。
でも実際には、
「きれいな場所に行けば、きれいな写真が撮れる」
というほど簡単ではありません。
桜が咲いていても、雨なら撮れない
例えば桜。
満開になる時期は限られています。
せっかく満開になっても、空が真っ白な曇り空だったりする。
翌日に晴れたと思ったら、強い風で花が落ちてしまったりする。
紅葉も同じです。
色づきがまだ早い。
今度は少し遅かった。
最高に色づいた日に限って天気が悪い。
撮影する側としては、
「昨日だったなぁ……」
なんてこともあります。笑
つまり、
場所が良ければいいわけでもない。
天気が良ければいいわけでもない。
時期が良ければいいわけでもない。
いろんな条件が重なったときに、初めて“最高の一枚”になる。
写真の仕事をしていたころ、そんなことを何度も経験しました。
これ、身体も同じじゃない?
今は鍼灸師として身体を見る仕事をしています。
そんな仕事をしていて、ふと思うことがあります。
「身体の調子も、写真と似てるな」
と。
皆さん、
「うわぁ、今日めちゃくちゃ調子いい!」
って感じる日、1年に何日ありますか?笑
よく眠れた。
目覚めもいい。
身体が軽い。
お腹も空く。
頭もスッキリしている。
仕事にも集中できる。
夕方になってもそれほど疲れていない。
毎日こうだったら最高なんですが、なかなかそうはいきません。
では、そんな調子のいい日は何が良かったのでしょう。
昨夜の睡眠時間がちょうど良かったのか。
食べた量が良かったのか。
前日に仕事を早めに切り上げたからなのか。
少し身体を動かしたのが良かったのか。
天気が良かったから気分が良かったのか。
ひょっとすると、
どれか一つではなく、いろんな条件がちょうどよく重なった結果なのかもしれません。
「これをやれば健康!」って、たぶんそんなに単純じゃない
健康情報を見ていると、
「これを食べるといい」
「毎日これをやりましょう」
「朝はこれ」
みたいな情報がたくさんあります。
もちろん役に立つものもあります。
でも、写真で考えてみると、
「晴れていれば絶対にいい写真が撮れる」
とは限らないんですよね。
花がまだ咲いていなければ、青空でも撮りたい写真にはならない。
逆に、曇りの日だからこそきれいに見える景色もあります。
身体も同じで、
早起きが合う日もあれば、
今日はもう少し寝た方がいい日もある。
運動した方がスッキリする日もあれば、
今日は休んだ方がいい日もある。
たくさん食べたい日もあれば、
自然とあまり食欲が出ない日もある。
一つの正解を毎日当てはめるより、その日の条件を見る。
私は東洋医学を勉強していて、そこが面白いと思っています。
写真も身体も「条件を見る」
写真を撮るときは、
光を見る。
空を見る。
季節を見る。
花の状態を見る。
時間を見る。
いろんなものを見ながら、
「今日はどう撮ろう?」
と考えます。
身体を見るときも、
顔色を見る。
声を聞く。
眠れているか聞く。
食欲を見る。
便通を見る。
最近どう過ごしていたか聞く。
そして、
「今、この人の身体には何が必要なんだろう?」
と考える。
昔はカメラを持って景色を見ていました。
今は鍼灸師として身体を見ています。
まったく違う仕事をしているつもりだったのに、
考えてみると私はずっと、
いろんな条件を見ながら、そのときの“ちょうどいい”を探す仕事
をしているのかもしれません。
毎日100点じゃなくていい
写真の仕事をしていたころも、毎回「最高の一枚」が撮れたわけではありません。
天候には勝てない日があります。
自然が相手なので、どうしようもないこともあります。
身体だって同じです。
毎日、
よく眠れて、
しっかり食べて、
適度に運動して、
ストレスもなく、
絶好調。
……そんな生活、できたら教えてください。笑
調子が70点の日もある。
50点の日もある。
たまに、
「今日めちゃくちゃ調子いいな!」
という日がある。
その日に、
「昨日何してたっけ?」
「最近ちゃんと眠れてたな」
「少し仕事が落ち着いてたな」
と振り返ってみる。
逆に調子が悪い日にも、
「何かいつもと違ったかな?」
と少し考えてみる。
身体を完璧にコントロールすることはできません。
でも、自分の身体を少し観察することはできます。
それくらいで十分なんじゃないかなと思います。
ファインダーを覗くように、自分の身体を見てみる
カメラを持つと、それまで気づかなかったものが見えることがあります。
光。
色。
雲。
季節の変化。
別に、それまで存在していなかったわけではありません。
見ようとしていなかっただけ。
身体もきっと似ています。
今日はよく眠れた。
今日はお腹が空く。
なんだか呼吸が浅い。
少し疲れている。
普段なら通り過ぎる小さな変化を、たまにはファインダーを覗くように見てみる。
東洋医学が、
そんなふうに自分の身体を見るための一つの道具
になったら面白いなと思っています。
昔は景色を撮っていました。
今は身体を見ています。
どうやら私は、
「よく見る」ということが昔から好きだったみたいです。
たまには、こんな東洋医学じゃないようで、ちょっと東洋医学な話も書いていきます。
毎日に、ちょっと東洋医学。
そして時々、鍼灸師のひとりごと。


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