「冷え性なんです」
そう聞くと、手足が冷たくて、冬には靴下が手放せない人を想像するかもしれません。
でも、お腹や腰まわりが冷える人もいれば、顔はほてるのに足元は冷たい人もいます。
同じ「冷える」でも、身体の様子は案外ばらばら。
今日は、冷えにもいろいろあるというお話です。
手足だけ? まずは「どこが、いつ冷える?」
私が冷えを見るときは、冷たい場所だけでなく、どんなときに気になるかも聞きたいと思っています。
冷房の効いた職場で、足元がつらくなるのか。
寝るころに、お腹や腰まわりの冷えが気になるのか。
寒い日だけなのか、暑い季節にも感じるのか。
触ると冷たいことと、本人が「中から冷える」と感じることも、同じとは限りません。
以前の「なんとなく疲れる。東洋医学では身体のどこを見る?」でも書きましたが、一つの症状だけでは、その人の状態は分からないんですよね。
食欲、便通、眠り、普段の過ごし方。冷えの周りにも、身体を見るヒントがあります。
外からの冷えと、暮らしの中の「内側の冷え」
私が考えることの一つが、外側から受けている冷えなのか、生活の中で内側から冷やしているのかという見方です。
外側なら、寒い環境や冷房の風。薄着で長く過ごしていないか、足元に風が当たり続けていないか、ということです。
一方、東洋医学では、冷たい飲食物をとる習慣も、お腹の調子などと合わせて「内側の冷え」を考える材料にすることがあります。
ただし、これは身体を捉えるための東洋医学的な見方です。飲み物の温度だけで、内臓が冷えているとか、冷え性の原因だとか、決められるものではありません。
外か内かの二択できれいに分けられるわけでもなく、両方が重なっていることも考えます。
よく動く人でも、冷えは気になる
運動習慣があって、筋肉もしっかりしている。よく身体を動かし、一見すると血流や代謝も悪くなさそうに見える。
そんな人でも、生活を聞くと、運動後のビールや冷たい飲み物が大好きで、寝る直前まで飲んでいることがあります。
運動でしっかり汗をかいたあと、キンキンのビール。
気持ちは分かります。笑
でも、運動できていることだけで、身体のことが全部分かるわけではありません。見た目で血流や代謝を判断することもできません。
私はこういうとき、毎日の飲み方が、その人にとって「内側を冷やす習慣」になっていないかも考えます。
冷え=運動不足の人だけの話ではない。
見たいのは、運動している時間だけでなく、そのあとの暮らしも含めた身体です。
臨床でも、東洋医学の見方で内側の冷えが強そうだと感じる人に、腰まわりの不調が重なることがあります。冷えた状態と腰の不調を関連づけて考えることはありますが、これだけで原因が分かるわけではありません。
「冷たい飲み物を飲むと腰痛になる」という話ではなく、腰痛には多くの原因があります。強い痛み、長引く痛み、しびれがある場合は、医療機関で確認してください。
冬の不調を、夏から考える「冬病夏治」
東洋医学には、**冬病夏治(とうびょうかじ)**という考え方があります。
冬に悪化しやすい不調に対し、陽気が盛んとされる夏の時期から整えていこう、という養生・治療の考え方です。背景には、季節に合わせて身体を養う「春夏養陽」などの古い理論があります。
日々の暮らしに引き寄せるなら、暑いからといって、毎日身体の中まで冷やし続けるような過ごし方になっていないか、振り返ってみる。
そんなふうにも受け取れると思います。
もちろん、「夏に冷たいものを飲むと冬に病気になる」という意味ではありません。
今の季節だけでなく、次の季節の身体まで考える。
昔の人、なかなか長い目で見ていますよね。この話は、また別の記事でも。
「何を温めるか」の前に、自分の冷えを見る
では、冷える人は全員、とにかく温めればいいのでしょうか。
ここも、そう単純ではありません。
上半身はほてるのに下半身は冷たいなど、違う感覚が同時にある人もいます。東洋医学でも、一つの症状だけで体質を決めません。
まずは、冷える場所、時間、飲食の習慣を少し観察する。冷房の風向きを変えたり、冷たいもののあとに不快感があるなら量や温度を見直したり。その人に合う調整を考えます。
ただし、暑い日の冷房や水分補給は我慢しないでください。熱中症対策では、冷たい飲み物が役立つ場面もあります。
「身体にいいこと、やりすぎてませんか?」と同じで、温めることも、頑張るほど正解とは限りません。
「私は冷え性だから」で終わらず、「私は、どう冷えているんだろう?」と見てみる。
冷えを自分のせいにするためではなく、身体に合う過ごし方を探すために。
毎日に、ちょっと東洋医学。


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