「別に病気ってほどではないんだけど……」
なんとなく疲れる。
そんな日ってありませんか?
仕事がものすごく忙しかったわけでもない。
夜更かしした覚えもない。
それなのに、
朝から身体が重い。
やる気が出ない。
夕方になるともうヘトヘト。
こういうとき、
「年齢かなぁ」
で片づけてしまうこともあると思います。笑
でも東洋医学では、「疲れている」という一つの症状だけを見るのではなく、
その周りで身体に何が起きているのか
を一緒に見ていきます。
今回は「なんとなく疲れる」という身近な身体のサインから、東洋医学ではどんなところを見るのか考えてみます。
「疲れた」の中身は人によって違う
同じように、
「最近疲れやすいんです」
と言っている二人がいたとしても、身体の状態が同じとは限りません。
例えば一人は、
食欲がない。
朝から身体がだるい。
少し動いただけでも疲れる。
もう一人は、
食欲は普通。
昼間は元気。
でも夜になるとぐったりする。
最近あまり眠れていない。
どちらも本人の言葉では、
「疲れる」
です。
でも話を聞いていくと、かなり違います。
だから東洋医学では、
疲れている=これ
とすぐ決めるのではなく、その人の身体からもう少しヒントを集めていきます。
まず私は「当たり前のこと」を聞きたい
ここでいきなり、
「あなたは気虚です!」
みたいな話にはなりません。笑
まず気になるのは、ものすごく普通のことです。
ちゃんと眠れている?
食欲はある?
便通はどう?
最近忙しくなかった?
身体を動かしている?
逆に、動きすぎていない?
こういうこと。
一見すると東洋医学っぽくないですよね。
でも私は、こういう普段当たり前にやっていることの中に、身体のヒントが隠れていると思っています。
例えば、
やらなきゃいけないことはたくさんあるのに、なんだかやる気が出ない。
自分ではいつも通りだと思っていても、家族や友人から、
「顔色悪くない?」
「なんか今日、声に力ないね」
と言われる。
そんなところから、身体の変化が見えてくることもあります。
食べる・眠る・出す
私は身体を見るとき、
食欲・睡眠・便通
はかなり大切な情報だと思っています。
なぜなら、普段は当たり前すぎて気にしていないけれど、
食べる。
眠る。
排泄する。
というのは、生きていくうえでかなり根本的な働きだからです。
調子がいいときって、
普通にお腹が空いて、
普通に眠れて、
普通に出る。
何も特別なことを考えずに生活できたりします。
逆に身体の調子が崩れてくると、
こういう「当たり前」が少しずつ変わる
ことがあります。
私はそこが面白いと思っています。
「昨日よりどう?」くらいでもいい
健康について考え始めると、
体温。
血圧。
体重。
歩数。
睡眠時間。
いろんな数字が気になります。
もちろん数字も大切です。
でも、
「昨日より身体が軽い」
とか、
「今日はちゃんとお腹が空いた」
とか、
「昨夜はよく眠れた気がする」
みたいな感覚も、身体を見る材料になります。
東洋医学には以前の記事で紹介した、
という身体の見方があります。
見る。
聞く。
話を聞く。
触れる。
そうやって、一つの数字だけではなく、いろいろな情報を合わせてその人の状態を考えます。
自分自身を見るときも、少し似ています。
疲れているから「気虚」とは限らない
前回の記事では、
気が足りない状態を考える「気虚」
についてお話ししました。
疲れやすさは、気虚を考えるヒントの一つになることがあります。
でも、
疲れている=必ず気虚
ではありません。
睡眠が足りないのかもしれない。
仕事で緊張が続いているのかもしれない。
身体を動かしすぎているのかもしれない。
逆に、ほとんど身体を動かしていないことで重だるく感じていることもあります。
だから、
「疲労に効く○○!」
と何かを一つ足す前に、
今の生活を少し振り返ってみるのも悪くないと思います。
同じ「疲れる」でも、原因はまったく違うことがある
以前、40代くらいの男性で、仕事もプライベートも忙しく過ごされている方がいました。
あるとき、
「病気をしたわけでもないのに、身体に力が入りづらくて、なんだか疲れやすい」
というお話をされました。
詳しく生活について聞いてみると、ある海外ドラマに大ハマりしていて、
連日の睡眠時間が4〜5時間ほど。
面白い作品に出会って、生活の充実感は上がっていたのかもしれません。
でも身体から見れば、
バッテリーを充電する時間が足りていない状態
とも考えられます。
「疲れている」という言葉だけでは分からなかったことが、普段の生活を聞くことで少し見えてきた例でした。
でも逆のパターンもあります。
恥ずかしながら、これは私自身の話です。
私は食事は3食しっかり。
子育てもあるので、睡眠時間も比較的確保しています。
寝かしつけで、そのまま寝かしつけられているわけでは断じてありません。笑
それなのに、
なんだか日中にやる気が出ない。
それほど忙しくなかったはずなのに、夕方になるとドッと疲れる。
そんな日が続いた時期がありました。
自分の生活を振り返ってみると、一つ思い当たる変化がありました。
通勤手段が、自転車からバイクに変わったことです。
当然、単純に日々の運動量が減った影響もあると思います。
ただ、東洋医学を学んでいる私がもう一つ面白いと思ったのが、
「巡り」
という視点でした。
自転車通勤をしていたころは、身体を動かし、汗をかき、自然と呼吸も大きくなります。
それがバイク通勤になって、日常生活の中で身体をしっかり動かす時間が一つ減った。
東洋医学の言葉を借りるなら、
「気や血を巡らせる機会が減っていたのかもしれない」
と私は考えました。
もちろん、実際の原因がそれ一つだったとは言えません。
でも、
休むことが足りない人もいれば、動くことが足りない人もいる。
同じ「疲れる」でも、中身は全然違う。
自分自身の経験からも、それを実感しました。
症状だけではなく、その人の生活を見る
この2つの話は、どちらも「疲れやすい」という点では同じです。
でも、
一人には休息が足りなかった。
もう一人には、もしかすると身体を動かす機会が足りなかった。
必要なのが休息なのか。
食事なのか。
身体を動かすことなのか。
それは人によって違います。
だから私は、
症状だけを見るのではなく、その人が普段どんな生活をしているのかを見ることが大切
だと思っています。
健康のためにやっていることが原因になることもある
例えば、
健康のために毎日運動する。
健康のために食事をかなり制限する。
健康のために早起きする。
どれも、それ自体は悪いことではありません。
でも、
睡眠時間を削って早起きしていたら?
疲れ切っているのに毎日ハードな運動をしていたら?
食べる量を減らしすぎていたら?
「身体に良いこと」をしているはずなのに、身体はしんどくなる
ことがあります。
前の記事でも触れましたが、
多ければ多いほど良いわけではない。
その人、その日の身体にとっての**「ちょうどいい」**があります。
じゃあ疲れたとき、何をすればいい?
これも、
「疲れたらこれ!」
と一つには決められません。
ただ私はまず、
今日はちゃんと食べたかな。
最近眠れているかな。
動きすぎていないかな。
逆に、一日中座りっぱなしじゃないかな。
と、少し振り返ってみることから始めてもいいと思います。
そこから、
今日は早く寝る。
少し歩いてみる。
温かいものを食べる。
予定を一つ減らす。
そんな小さな選択をしてみる。
特別な健康法じゃなくてもいいんです。
身体はけっこう前からサインを出している
大きく体調を崩してから、
「そういえば、少し前から変だったな」
と思うことがあります。
もちろん、すべての体調不良を自分で判断できるわけではありません。
強い疲労が続く、急に悪化する、息苦しさや胸の痛みなど他の症状を伴う、といった場合には医療機関への相談も大切です。
そのうえで、
普段の小さな変化に気づく。
というのは、自分の身体と付き合っていくうえで大切なんじゃないかなと思います。
「疲れた。」
そこで終わらず、
「なんで今日は疲れているんだろう?」
と、ほんの少し考えてみる。
東洋医学は、そんなふうに身体を見るための一つの道具でもあります。
毎日に、ちょっと東洋医学。
次回は、
「ストレスで胸やお腹がつまる?『気滞』という考え方」
について話してみたいと思います。

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